この本にガツンと衝撃を受けたので、紹介します。
AIについての専門的な本かと思って読んだのですが、
それよりも最近の子供の読解力の低さについても書かれており、それが衝撃でした……。
1.内容の要約
本書を簡単に要約すると──
AIが人間に取って代わり、AIが人間を支配するようになるという映画『ターミネーター』や『マトリックス』のような世界は、絶対に実現しない。
AIが人間よりも優れているのは「論理・確率・統計」だけであり、それ以外のあらゆる分野においては、AIが人間を超えることはない。
「AIってスゲー!」とマスコミが宣伝しているのは主に「論理・確率・統計」だけであり、それ以外の分野では到底人間にはかなわないそうです。
AIといっても、結局はよくできた電卓に過ぎないのでしょうか?
2.読解力テストをやってみよう!
本書の後半では、日本人学生の読解力について書かれているのですが、個人的にはこっちの方がよっぽど衝撃的でした。
試しに、みんなも一緒にこの問題を解いてみましょう。
読解力テストですよ!
第1問
次の文を読みなさい。
火星には、生命が存在する可能性がある。かつて大量の水があった証拠が見つかっており、現在も地下には水がある可能性がある。
この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを1つ選びなさい。
かつて大量の水があった証拠が見つかっているのは( )である。
1.火星
2.可能性
3.地下
4.生命
第2問
次の文を読みなさい。
エベレストは世界で最も高い山である。
この文に書かれたことが正しいとき、以下の文に書かれたことは正しいか。「正しい」、「まちがっている」、これだけからは「判断できない」のうちから答えなさい。
エルブレス山はエベレストより低い。
1.正しい
2.まちがっている
3.判断できない
わかりましたか?
どちらも1が正解です。
なんのひっかけもないシンプルな問題ですよね。
ところが!
中学生だと62%、高校生だと35%がこの問題に正解できなかったのです。
もちろん、深読みしすぎてあえて正解できなかった賢い?学生もいたのでしょうが、この誤答率は衝撃的ですよね……。
2.読解力低下の原因は?
いくらでも原因はあるでしょうが、やはり最大の原因はインターネットの普及による長文読解能力の低下でしょうね。
ツイッターなどでは基本的に短い文章が爆発的に拡散されますし、
ネットで得られる情報のほとんどが、パズルの1ピースのような断片的なものです。
分厚い一冊の本を読む人が減っているのでしょう。
ふつう、大学以上の教育機関であれば、学生にまとまった量の本を読ませるはずですが、最近は少子化が進んだせいで「学生のお客様化」がすすんでいるので、
分厚い本を読ませるよりも、就活メソッドのようなものを分かりやすいCMのように教える傾向があります。
ネットの断片的なピースのみで構成されている人生観は、すごく危険な気がします。
それは分かりやすくいうと、 まったく違う絵のピースをバラバラに持っているようなものです。
バラバラのピースでは、自分の世界観はなかなか作れない気がしますよね……。
3.話の通じない人たちが支配する新時代
SNSには「話の通じない人たち」が大勢います。
リアルにもそういう人がいますよね。
読解力が低下することによって、他人の感情を理解して共感する力も大幅に低下すると思います。
想像してください。
なにを言ってもまったく話が通じない日本人を。
かつて、犬養毅は殺される直前に「話せば分かる!」と叫んだそうですが、
これからは、話したところで絶対にお互いに理解できない新時代(暗黒時代)が到来するかもしれません。
この本、とにかく恐ろしかったです。
コメント