日本発のインターネット・サービスを展開する楽天グループ。その創業者が三木谷浩史というパワフルな社長です。
かつて無敵と言われた日本のシャープやパナソニックが海外のメーカーに負け続けている中で、楽天は成長し続けています。
楽天は従業員2万人を超える大企業ですが、「社内公用語の英語化」をはじめとして、大企業なのにベンチャー企業なみに動くのが速いです。
必勝法がころころ変わってしまうインターネットをビジネスにしている会社としては、このフットワークの軽さは大事なのでしょうね。
大企業に新卒で入社できるチャンスは貴重なので、どの大学卒であってもとりあえず楽天はプレエントリーしておくことをおすすめします。
では、この日本発の世界的大企業、楽天の創業者である三木谷浩史のおすすめ本を紹介します。
1.三木谷浩史のおすすめ本ランキング4冊
①たかが英語!
楽天は2012年より、社内の公用語を英語にする改革を進めています。
日本の企業だし、しかも日本人同士の会話や会議でなぜ英語を使わないといけないのか?
しかも、小規模なベンチャー企業ならできるかもしれませんが、それを当時7000人以上の社員がいた楽天でそんなことをするのは、前例がなく、まさに実験です。
本書は、「なんで日本の企業なのに、社内公用語を英語にするの?」という疑問に対する、三木谷浩史の解答です。
社内公用語を英語にする理由を一言で要約すると、
でも、日本の文化を捨てろというわけじゃないし、ネイティブ並みの英語なんてしゃべれなくていい。
むしろ、日本語なまりの英語でいいから、外国に英語で訴える努力をしないといけないのだ。
━━要約すると、こんな感じです。
僕はこの戦略は間違っていないと思います。
すごいのは、社員を7000人以上抱えた大企業にもかかわらず、この改革を決断したことでしょうね。
「大企業なのに、ベンチャー企業並みのフットワークの軽さを持っている」
これが、楽天の強みかもしれません。
*
*
*
これは僕の感想ですが、社内公用語を英語化することの短期的なデメリットと、長期的なメリットを以下にまとめました。
(逆に、仕事はできないのに英語だけはできる人が不当に高く評価されてしまう)
・脳みそのやわらかい若者ならまだしも、管理職についているような中高年の社員だと、今さら英語を学ぶやる気が出ない。
ゆえに、若手社員と中高年社員との断絶が広がる。
(世界の最新情報はまず英語で発信されるので、それをいち早く読み取れるのは、インターネットビジネスを扱う楽天にとって大きなアドバンテージになる)
・「日本が好きだから日本で働きたいけど、日本企業だと英語が通じないからあきらめよう……」となっていた優秀な外国人のとりこぼしが少なくなる。
(現に楽天の社員の3割近くは、外国籍だそうです)
━━ざっとこんな感じでしょうか。
社内公用語英語化は、おそらく最初のうちは社員から猛烈な反対があったでしょうけど、長期的にはメリットの方が多く、やはり間違っていないのではないかと僕は思いますね。
三木谷浩史『たかが英語』
大企業が社内改革をするのは難しいものですが、楽天が社内公用語を英語化することができたのはなぜか?
前例のない「実験」であり、日本が日本語によって海外の競争から守られているのをひしひしと実感……。https://t.co/6zEuNxOKZH
— タロン@本読み (@shin_taron) May 1, 2021
②成功のコンセプト
・professionalismの徹底
・仮説➡︎実行➡︎検証➡︎仕組化
・顧客満足の最大化
・スピード!! スピード!! スピード!!
本書では、この5つのコンセプトについて、一つ一つ詳細な説明があるので、楽天の企業研究にも必須の本でしょう。
三木谷浩史自身も、「この成功のコンセプトに共感してもらうことが、入社の絶対条件」と言っているので、本書で前もって予習しておくべし!
③競争力
三木谷浩史の父、神戸大学名誉教授の三木谷良一との対談本です。
36歳差の親子による対談本ですが、日本の官僚制、ジャーナリズムなど、政策提言的な内容が多いので、楽天の企業研究にはあまり役に立たないかも。
とりあえず、P57の「なぜ英語の公用語化が必要か」だけは、つまみ読みしておいたほうがいいでしょう。
三木谷浩史の留学時代の話や、楽天創業秘話なども書かれているので、三木谷浩史個人に関心がある人は、読んでおくといいでしょう。
個人的には、教育の話がおもしろかったけど、これはまあ企業研究にはあんまり関係ないですかね……。
ただ、三木谷浩史がなぜインターネット・ビジネスにこだわるのかが書かれています。
読むのが面倒な人のために、その部分だけ引用しておきます。
僕は、自分の欠点も限界もよく知っている。僕は、目標さえあれば他の全てを投げ捨ててでも突き進むことができる。窮地に陥れば陥るほど、俄然やる気が湧いてくる。
けれど、これが最大の欠点なのだが、仕事が軌道に乗ってしまったらすぐに興味を失いかねない。義務感だけでは仕事に集中できない。極めて飽きっぽい。そういう意味では、かなりの無責任だと言えるだろう。
平和なときには役に立たない、乱世でしか力を発揮しないタイプなのだ。
そんな僕が起業してまでやる事は何かを考え続けた結果、導き出した結論はこうだった。インターネットの分野なら今後どこまでも可能性が広がる。事業の内容もどんどん広げていくことができるだろう。そしてその競争は熾烈を極めるはずだ。
だからこそインターネット・ビジネスならこういう僕でもいつまでも飽きずに取り組めるはずだ、と考えたのだ。
三木谷浩史『競争力』
"一部の政治家には「日本の若者はダメだから徴兵制をもう一回導入すべきだ」と言う人がいます。
しかし、脳科学者たちは「脳が最も柔軟な思春期に、言う通りに服従させるのは最悪だ」と言っています。
要するに「考えるな」という事ですから。"https://t.co/CeIqDRQuu1— タロン@本読み (@shin_taron) May 1, 2021
④成功の法則92ヶ条
今回紹介する本の中では、いちばん分厚い一冊。
三木谷浩史の経営哲学が、92の項目で書かれているので、読み通すのは大変ですが、余裕があれば読んでおきましょう。
わりと衝撃的だったのは、新入社員に過酷な営業ノルマを課していたことですかね。
今もやっているのかどうかは分かりませんが、やはり「根性が大事!」という「体育会系」の雰囲気はあるのかもしれませんね。
その部分の引用です。(続きが気になる人は、買って読んでね)
楽天の新入社員170人に、企業研修の1つとして、楽天カードの契約を取るという仕事を課したことがある。期間は1ヵ月、新入社員1人につき10枚の契約を取るという目標を課した。
昨日まで学生だった彼らでも、10枚くらいの契約は取れるだろうと考えたのだ。ところが、この目標が達成できなかった。
できないというのは、努力をしなかったということだ。僕は彼らに試練を課した。「期間を1週間延ばす、そのかわり絶対に1人30枚契約を取れ!」
2.三木谷浩史のその他おすすめ本ランキング+α1冊
余裕のある人は、こちらの本も読んでおくといいかも。
作者は三木谷浩史ではないので、客観的に読めるでしょう。
成績の悪かった三木谷浩史の幼年時代について知ることができます。
3.実は僕、楽天の面接を受けたことあります
実はですね、少し前の話になりますが、僕も新卒として楽天の面接を受けました。
結果、二次面接で叩き落とされたのですが、やはり面接官もレベルが高く、突っ込んだ本質的な質問をされた記憶があります。
事前に企業研究をして対策をしていないと、おそらく面接突破はムズカシイので、ぜひ十分な対策をして内定を取れるように頑張ってください!
ちなみに一次面接はグループ面接で、軽い自己紹介や「学生時代に力を入れたこと(通称:ガクチカ)」くらいしか聞かれなかったので、一次面接はあまり厳しくありませんでした。
一次面接は、リラックスして挑むといいかもしれませんね。
ちなみに、僕は二次面接で面接官に、
「楽天はAmazonのサイトに比べて、画面がごちゃごちゃして見にくい、という意見がありますが、どう思われますか?」
━━という質問をしたのですが、それに対して面接官は、
「たしかに楽天はAmazonに比べて画面がごちゃごちゃしていて見にくいかもしれませんが、その分、たくさんの情報量があります。
日本人の場合、シンプルすぎる画面よりも、情報量の多い画面のほうが安心してもらえる、という側面もあるのです」
━━と答えていたのが印象的でした。
ライバル企業のAmazonを引き合いに出した質問にも、イヤな顔をせずに冷静に的確に答えてくださった面接官の方はかなり良い印象でした(まあ、落とされたんですけどね)。
*
*
*
さて、僕は楽天には入社できませんでしたが、新卒のみなさんにはまだまだチャンスがあります。
楽天ほどの大企業になってくると、事前に入念に企業研究をしてないとライバルに勝てません。
今回、紹介した本を読み込むのもいいのですが、一番いいのはやはり、「OB訪問」や「インターンシップ」です。
読書が好きな人だと、本を読むだけで分かった気になって済ませてしまう傾向があるのですが(僕もそうです)、やはり、身体を動かさないと就活に勝つのは厳しいです。
とはいえ、「OB訪問」をするときに、楽天の社員の人に「楽天についてこんな本を読みました!」とアピールすれば、ライバルとの差をつけられるかもしれませんので、本は読んでおいたほうがいいです。
(自分の会社についての本を読んでいる新卒の人に、悪い印象を持つ社員はまずいないでしょう)
では、就活がんばってください!
コメント