今月の時事ニュース
文科省が始めた「#教師のバトン」が炎上している。
現役教師が自由に教師という仕事の魅力を伝えることが当初の目的だったのに、ツイートされるのは教師という仕事への不平不満ばかり。
当初の企画と真逆の結果を生んでしまった文科省の官僚はさぞ冷や汗をかいてるんだろうけど、教育界の問題を浮き彫りにしたと考えればナイス企画だったんじゃないかと思う。
自治体によっては、小学校教員採用試験の倍率が1倍台になっているらしく、教師の不人気っぷりはヤバい。
(倍率が3倍を切ると、本来は教師になる能力のない人でも採用されてしまう可能性が高くなるらしい)
このまま質の低い人材が教師になってしまうと、
➡︎レベルの低い学校の授業を受けさせたくない親が、子供を予備校や塾に通わせる。
➡︎予備校や塾に通う経済的余裕のない家庭は受験で不利になる。
━━となって、ますます格差が広がってしまうんじゃないかと。
教師の負担を軽減して、ブラック度を下げないと、まともな学生は教師にならないんじゃないか……。
今月の俺ニュース
今やってる仕事がほとんど立ち仕事なせいで、足への負担がヤバい。
Apple Watchで計測してみると、14時間も立ちっぱなしになってた。
Apple Watchをつけておくとこうやって1日の運動量が見える化できるのが楽しい。
2021年4月発売のおすすめビジネス書3冊
①実力も運のうち 能力主義は正義か?
『これからの「正義」の話をしよう』で有名なサンデル教授の久しぶりの新刊。
本書のキーワードになっている「メリトクラシー」とは何か?
メリトクラシーとは、IQと努力により獲得される「メリット(merit)」━━標準的な英和辞書では「価値、長所、美点、功績」といった日本語訳が記されている━━に基づいて、人々の職業や収入などの社会経済的地位が決まるしくみをもつ社会のことを意味する。
社会の近代化に伴い、学校教育の制度化・普及とともに社会に浸透したとされるメリトクラシーは、家柄など本人が変えることができない属性により生涯が決まってしまう前近代的な仕組み(「属性主義」もしくは「アリストクラシー」=貴族制と呼ばれる)よりも、はるかに公正かつ効率的で望ましいものであると一般的には考えられてきた。
(本書の解説より引用)
メリトクラシーとは、要は「能力の高い人が高い地位につくのが当然。家柄や出自は無関係」という仕組みのこと。
実力のある人が高い地位につくメリトクラシーは当然のことに思えるけど、サンデルいわくこんな問題点があるとのこと。
・お金持ちの子供は塾や予備校に通える余裕があり、教育の機会が増える。それに対して、貧乏な子供は塾や予備校に通えない。
なので、お金持ちの子供は賢く、貧乏な子供はそうでなくなるという格差が固定化されがち。
・お金持ちの子供は自分の努力よりも「たまたま」お金持ちの子供に生まれたからという理由で高い地位につけたにもかかわらず、謙虚さを失い、そうでない人を見下してしまう。
本書でサンデルは、
人種差別や性差別が嫌われている(廃絶されないまでも不信を抱かれている)時代にあって、学歴偏重主義は容認されている最後の偏見なのだ。
━━とまで言っており、たまたま運が良かっただけでエリートになれたのに、それを忘れて非エリートを見下す傲慢さを批判している。
とはいえ、サンデル自身もハーバード大学教授という完全エリート側の立場だし、「お前が言うのかよ」との意見も多い。
日本ではいまだに東大・京大のエリートたちは、「すさまじい努力をした人たち」というイメージだけど、本書にしたがって言えば、
━━ということになる。
確かにここまではその通りなんだけど、本書では「富裕層への課税」などの、誰でも思いつくような解決策しか挙げられていないのはちょっと拍子抜けだったかも。
結局は、「高学歴エリートはもっと謙虚になろうね」という結論に尽きる本だと思う。
もし傲慢な高学歴エリートに会ったら、「実力も運のうちだぞ」と言ってやろう。
マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』
学歴至上主義の現代に批判の矢を射つ内容でした。乱暴に要約すると「高学歴エリートは謙虚になれ」ということですが、サンデル自身がハーバード大学のエリートなので、「お前が言うな」という反論もありそう…。https://t.co/Ic8eu8Eto3
— タロン@本読み (@shin_taron) June 9, 2021
②オードリー・タン 日本人のためのデジタル未来学
台湾の有名人、オードリー・タンの新刊。
オードリーが民間のプログラマーと連携して、「マスクマップアプリ」をわずか3日という驚異的なスピードで開発した話などが興味深かった。
「マスクマップアプリ」とは、全国6000カ所以上の販売拠点でのマスクの在庫が3分ごとに自動更新されるというアプリらしいけど、日本ではこういうアプリは登場しなかったですね(俺が知らないだけ?)。
台湾と日本を比較すると、日本の支配者層の同質性の高さが見えてくる。
日本の支配者って、だいたい「有名大卒・男性・中年」という属性で固まってる。
似たもの同士ばっかりなので、イノベーションは起こらないし、だからいつまでも古いままなのかなと。
オードリー・タンは、デジタル担当の政務委員という要職についていますが、男性でも女性でもない。
彼/彼女は、性別欄には「無」と書いているそうだけど、日本ではこんなに先進的な人が政府要職につくにはまだまだ時間がかかりそう。
早川 友久『オードリー・タン 日本人のためのデジタル未来学』
"性別適合手術により、20代で肉体的には女性へと移行したが、自分が男性、女性のどちらかに属するとも思っていない。事実、政務委員に就任するとき性別欄には「無」と書いている。" pic.twitter.com/vO7wShnL5C
— タロン@本読み (@shin_taron) June 2, 2021
③コロナ後のエアライン
全世界で1年以上にわたる長い期間、人が自由に移動できなくなったのは、戦後に民間航空路が発達してから初めてのことである。
━━やはり、コロナの影響はあまりにも長すぎた。
東京オリンピック・ パラリンピックの東京開催が決まった2013年9月以降、ANAやJALは2020年を見据えた大量採用活動をしていた。
ところが、まさかコロナウイルスの蔓延が1年以上も続くとは、予想外だったらしい。
結果として、ANAやJALは、採用しすぎてしまった多数の客室乗務員やグランドスタッフを抱えてしまい、「人余り」の状態になっているとのこと。
客室乗務員は接客業でテレワークができないので、現在はコールセンターなどに一時的に出向して働いている人も多いらしい。
結果的に大量採用をしてしまったANAやJALの経営判断ミスになるんだろうけど、コロナを予測できるはずもないので、誰も責められないミスだよな……と。
鳥海高太朗『コロナ後のエアライン』
"客室乗務員やグランドスタッフは現場仕事であり、一切のテレワークができない。
特に客室乗務員は乗務手当が支給されずに自宅待機の状態となり、家でのテレワークもできないことで将来への不安を感じた人も多かったそうだ。" pic.twitter.com/aOAs5us6mt— タロン@本読み (@shin_taron) June 3, 2021
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