プレゼンテーションの神本があります。
それが、『プレゼンテーションZEN』
──というのが本書で繰り返される結論です。
なぜ、この本がプレゼンテーションをする上で必読なのか、理由を説明しましょう。
1.「ZEN」とは禅のこと
本書のタイトルにもなっている「ZEN」とは、禅のことです。
プレゼン名人として知られているスティーブ・ジョブズは、日本の禅を熱心に学んでいたらしく、彼は禅を通じて、「シンプルなプレゼンこそが最高だ」との結論にいたりました。
この本の著者であるガー・レイノルズも、そんな日本文化に興味を持ち、ずっと日本に住み続けているそうです。
「わび・さび」が重んじられる日本文化では、シンプルさが命。
そんな日本人が、プレゼンテーションになると、とたんに内容がごちゃごちゃしたわかりにくいスライドを作ってしまうのは不思議ですね。
2.僕の黒歴史を紹介します。
いきなりですが、僕の黒歴史を紹介します。
これは、僕が大学生時代に作ったスライドです。(お恥ずかしい)
一枚のスライドに文字がいっぱい詰まっていて、読みづらいですね……。
しかも、箇条書きが多すぎて結局何が言いたいのかわかりません。
「プレゼンテーションで、箇条書きを使うのはやめておいたほうがいい」
「一枚のスライドには一つのトピックで十分」
──と、本書には書かれています。
では、このアドバイスにしたがって、このわかりにくいスライドを改善してみましょう。
じゃじゃん。
言いたいことを一つだけに絞ると、こんなにシンプルになりました。
これなら説得力が増しますし、言いたいことがどストレートで聞き手に伝わるはずです。
でも、こんな反論があるかもしれません。
━━たしかにシンプルすぎると「手抜きした」と思われるかもしれません。
しかし、これが日本人の多くがハマる罠なのです。
日本人はどうしても、
──と、指摘されるのを恐れるんですね。
後から説明不足だとのクレームを入れられないように、とにかくスライドに情報をたくさん詰めこむ。
だから、日本人は分かりにくいスライドを作ってしまうんです。
スライドに入らない情報は別の書類で配れ
本書でなんども述べられていることですが、
スライドはあくまで、視覚的にわかりやすくするためのものです。
なのに、日本人はスライドに「文章」をつめこんでしまうのです……。
スライドに入りきらない文章は、別途プリントを作って、それを配りましょう。
本書では、
別途、配布資料(聴衆の一人一人に配るプリント)を作成することが大事。好きなだけ、脚注をつけたり詳細を書き込んだりするとよい。
そしてプレゼンテーションの開始時に「発表内容の詳細が乗った文章を終了後に配布しますので、話したことを全部書き取る必要はありません」と告げておこう
スライドをそのまま印刷したものを配布する必要は無い。
あなたがいなければそのスライドに意味は無いのだから。
──と書かれています。
3.【クイズ!】どっちがプロのスライド?
突然ですが、ここでクイズです。
この2種類のスライドを見てください。
どちらかが「プロのスライド」でもう片方は「素人のスライド」なのですが、分かるでしょうか?
正解は、右のスライドが「プロのスライド」です。
なぜかわかりますか?
実は人間は、人の視線に敏感なので、スライドの中の人間の顔が向いている方向に無意識に注目してしまうのです。
左のスライドは人間の顔の向きが画面の外側を向いてしまっているので、聴衆の視線も画面の外側に誘導されてしまうのです。
それに対して、右のスライドは、人間の向いている方向に円グラフを配置しています。
こうすると、聴衆は無意識に円グラフに注目するようになるのです。
おそらく、スライドを作るときに、視線の向きに注意している人はほぼいないでしょう。
ここを注意するだけで、分かりやすいスライドを作れますよ!
さらに、もう一つクイズ。
どっちがプロのスライドでしょうか?
もうわかりますよね。
右のスライドが「プロのスライド」です。
・スライドに人間をのせる場合は、視線の向きと同じ方向に文章やグラフを配置するようにしましょう。
【おわりに】この本自体がプレゼンテーションになっている
『プレゼンテーション ZEN』が、プレゼンをする人にとって必読の神本である理由をもう一つお教えしましょう。
実はこの本、本のデザインそのものがプレゼンテーションになっているのです。
なので、ページをめくっていくだけで、プロのプレゼンテーションをその場で体感できるというありえない完成度に到達している神本なのです。
プロのプレゼンテーション、体感してみませんか?
ガー・レイノルズの他の本は、こちらでまとめて紹介しています。
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