正直、最近の日本映画はやたらと説明口調が多すぎて余白がなくて苦手なんだけど、そんな日本映画も傑作はもちろんある。
少し古い映画もあるけど、26歳がえらぶ人生ベスト日本映画3選を紹介する。
26歳がえらぶ人生ベスト日本映画3選
羅生門
1950年の日本映画だ。
「いやいや、古すぎ。白黒映画なんて見てられないよ」と思わずに、絶対に見るべき。
一つの事件をそれぞれ別の人物の視点から描くという構成になっていて、結局最後まで誰の証言が本当なのか分からないのだ。
登場人物全員が嘘をついている可能性がある。もはやライアーゲームだ。
しかも、最後のシーンは、俺たち観客に対する監督の挑戦がある。
赤ちゃんを抱っこしてカメラに向かって歩いてくる男。この男をあなたは信頼できますか?
━━監督の黒澤明は、こう問いかけている。ちなみに俺はまったくこの男を信じられなかった。ちょっとニヤついてたし。
ちなみに、心理学や社会学では「羅生門効果」という専門用語が使われることがあるらしい。
一つの専門用語を作り上げるまでに発達する映画なんて、おもしろいに決まっている。
ちなみにちなみに、映画『桐島、部活やめるってよ』は、映画『羅生門』の構成をうまいことパクっている。
さすがに、70年も前の映画の構成をパクっても何も言われないので、パクるなら昔の映画がおすすめ。
おくりびと
ベタだけど、やっぱり『おくりびと』はよかった。
ビジネス界隈の人たちが使う「億り人」という、うさん臭い言葉ではない。
ちゃんとした『おくりびと』のほうの映画だ。
死体を送り出す「おくりびと」としての役割を描いてるんだけど、冒頭のシーンからもう、完璧すぎる。
死をコミカルに、それでいてどこか重々しく描くというこの巧みさはただごとではない。
俺は死んだ後なんかどうでもいい派だけど、こうやって「おくって」もらえるならあの世で満足で来そうな気がする。
悪の教典
サイコパス教師が子どもたちを殺しまくっていく話で、なんでこんな反社会的な映画を? と思うかもしれないけど、この映画、意外にリアリティーがある。
ほとんどの人は、やろうと思えばいつでも大量殺人ができてしまう。俺だって、少し計画を練れば、大量殺人ができる。
人が大量殺人をしないのは、「そんなことをしてはいけない」という良心が、教育によってインストールされているからだ。
つまり、良心は犯罪防止装置ともいえる。
社会の治安は、最終的には人々の良心に委ねられている。
でも、サイコパスには良心がない。
大量殺人を犯すのが合理的だと判断すれば、躊躇なく大量殺人を実行してしまう。
そんなサイコパスが教師として、学校に紛れ込んできたら……? というIfを描いたのが、この作品なんだ。
良心を無効化できるサイコパスのことがよくわかる小説だ。
そのうち、日本の学校で大量殺人が起こってもおかしくない。
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