全2巻の分厚い伝記なので、読むのに時間がかかりました。
それもそのはず。
あのスティーブ・ジョブズの伝記本ですから。
これでもまだ薄いほうかもしれない。
ジョブズの伝記本の中ではいちばん情報量が多いし、なにより本人が認めた公式伝記ということだから、偉人の人生に興味がある人にはおすすめです。
1.ジョブズは理系か文系か
「スティーブ・ジョブズといえば、iPhoneを発明した人」
──そう思いがちですが、「発明」というのはちょっと違うかもしれません。
スティーブ・ジョブズはあくまでデザインにこだわった人であり、iPhoneを全てゼロから一人で生み出したわけではありません。
ちなみに、ジョブズはプログラミングができないそうです。
マイクロソフト社のビル・ゲイツは「プログラミングができないなんて、ジョブズはバカだね」みたいなことを言ったとか言ってないとか……。
プログラミングはITの基礎知識って感じがしますが、ジョブズはそれができなかった。
「あれ、ジョブズって理系の発明者ってイメージがあったんだけどなあ」
──僕もそう思ってましたが、この本を読む限り、ジョブズはどっちかというと文系よりの人間だと思います。
2.ジョブズが優れていたのはプレゼン能力とデザイン能力
ジョブズが優れていたのは、プレゼン能力とデザイン能力でした。
新製品を紹介するたびに、ジョブズは観客を惹きつける魅力的なスピーチをしました。
証明の隅々から声のイントネーションにいたるまで、妥協を許さないこだわりっぷりが、あのプレゼン能力を支えていたのでしょう。
そして、iPhoneに代表されるような、今までにない製品をうみだすデザイン能力。
電話といえばガラケーみたいにたくさんのボタンがついているのが当たり前だった当時からすると、ボタンが1つしかないiPhoneはまさに革命的でした。
プレゼン能力とデザイン能力。
デザイン能力は文系と理系の素質が混ざっている感じですが、プレゼン能力はかなり文系の守備範囲に思えます。
ジョブズは文系と理系両方の素質をもっていたのか!
3.文系と理系の交差点
実際、この本の最後でもジョブズ本人がこんなことを言っています。
「『文系と理系の交差点に立てる人にこそ大きな価値がある』と僕のヒーローの1人であるエドウィン・ランドが語った話を読んで、そういう人間になろうと思ったんだ」
エドウィン・ランドとは、ポラロイド社の創業者ですが、彼の「文系と理系の交差点に立てる人にこそ大きな価値がある」という言葉をジョブズは気に入ったようです。
日本では、文系or理系の二分法でくくられがちで、その中間が忘れられていますよね。
ジョブズは文系と理系の中間に自分の身を置き、両者のいいとこ取りをしていたがゆえに、iPhoneを発明できたのかもしれません。
日本って文系と理系の壁が高すぎない?
日本だと高校生くらいの段階で、文系or理系に分かれますよね。
いったん文系か理系に分かれちゃうと、それ以外の分野を学習する機会がぐっと減ってしまう。
大学に行けば、文系学部と理系学部の壁はもっと高くなります。
そもそもキャンパスが別なので、めったに文系学生と理系学生が会わないなんてこともよくあります。
でも、これってもったいないよね。
もっと両者がまじわる場所があってもいいのに。
まさに「文系と理系の交差点」が、日本には不足しているのです!
以上、大学4年間を文系学部の中だけで過ごしてしまった僕の後悔もこめてお話ししました。
【まとめ】ジョブズを知りたい人には必読の文献
なかなかに読みごたえのある本で、ジョブズについて知りたい人は必読の文献です。
特に、この本の最終章あたりの「文系と理系の交差点」のくだりは、なかなか感動的で、僕は新しい視点をもらいました。
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