村上春樹はしょっちゅう旅行をします。
ノモンハンで戦争の跡を見たり、ギリシアで猫と遊んだり、アイルランドでウイスキーを飲んだり……。
村上春樹は、旅行記もおもしろいのです。
今回は、おすすめの村上春樹の旅行記・紀行文を3つ紹介します!
1.村上春樹のおすすめ旅行記・紀行文3選
僕の個人的おすすめを、3つに絞りました!
辺境・近境
ぶっちぎりで、この旅行記がおもしろいですね。
ノモンハンに残っている戦争の跡地を訪ねるのですが、これがおもしろい。
日本では戦争の跡はほとんど残っていませんが、ノモンハンには草原に第二次世界大戦のころの戦車が打ち捨てられているそうです。
表紙で村上春樹が乗っているのは、ノモンハン戦争の跡地にうち捨てられていたソ連軍の中型戦車です。
村上春樹は昔から、ノモンハン戦争に異常な興味があるそうです。
村上春樹は旅行の最後に、霊的な体験をしています。
しかし、実際には、地震どころか、なにも起こっていなかった……。
──という奇妙な体験が書かれています。
村上春樹が霊的な体験を旅行記に書いているのは、この本だけです。
真相はわかりませんが、戦争の跡地を見たことにより、村上春樹の深層心理が異常をきたしたのかもしれません。
戦争を考えることは、危険なことなのかもしれませんね……。
村上春樹のこの霊的体験は、『ねじまき鳥クロニクル』の有名な井戸のシーンに反映されていたりするので、村上春樹作品を理解したい人にもおすすめの旅行記です。
もし僕らのことばがウィスキーであったなら
ウイスキーの本場である、スコットランドのアイラ島やアイルランドを訪ねています。
ウイスキーを飲むためだけに、わざわざスコットランドまで行ったそうです。
お酒好きの人なら、本の中に出てくるウイスキーの描写に狂うでしょうね。
ストレートでグイッと飲むのが通の飲み方だそうです。
お酒に弱い人には、ムリですね!
You need cube?(氷はいるかい?)
No thanks. With just water, please.(いや、水だけで結構)
──という英会話を、僕はこの本で学びました。(一生使わん気がするけど)
雨天炎天
ギリシャ正教の聖地である、アトス半島の旅行記です。
アトス半島は宗教の聖地なので、女性は一人も住んでいないそうです。
・フィロセウ修道院
・カラカル修道院
・ラヴラ修道院
いろんな修道院をめぐる旅をするのですが、そもそも無宗教の日本人にはやはりアウェイ感があるようで、村上春樹は腐ったパンなどを食べさせられていました。
女性もおらず、宗教的なアウェイ感がMAXの中で歩きまくる村上春樹がかわいそうでした。
2.その他の旅行記・紀行文
他にも旅行記があるので、紹介しておきます。
遠い太鼓
イタリアやギリシアなどの旅行記ですが、これは日記的で断片的なので、すこし読みにくいかも。
「南ヨーロッパには、ランニングの習慣がないので、ランニングがやりにくい」
──と書いてあったのですが、これは初耳でした。
それから、ギリシアには「ハルキ島」という島があって、なんと村上春樹と同じ名前です。
村上春樹がハルキ島を訪れる、という面白いシーンもあるので、ぜひ。
シドニー
シドニーオリンピックの見聞記です。
日本国内だと、獲得したメダル数ばかりが注目されるオリンピックですが、村上春樹のオリンピックを見る目は冷めています。
オリンピックはテレビで見る限り、ナショナリズムをあおるものでしかないけど、テレビを通さずに見ると純粋なスポーツだ。
──みたいなことが書かれていました。
村上春樹のオリンピックを見る目は、やはりちょっと冷たいかもしれません。
ラオスにいったい何があるというんですか?
ラオスやアイスランドなど、多くの国の旅行記がまとめられた本です。
熊本に夏目漱石の家を訪ねていったときの、くまモンに関する描写もあります。
ちなみに、
旅先で何もかもがうまくいったら、それは旅行じゃない。
──という、有名な一文があるのも、この本です。
東京するめクラブ 地球のはぐれ方
村上春樹以外にも、吉本由美と都築響一という人が、共同で書いている旅行記です。
国内国外のいろんな旅行記のごった煮……という感じの本です。
村上春樹は名古屋に興味があるらしく、
名古屋は全国レベルのマスメディア的注目が集まったことがないから、情報のエアポケットになっていた。
──というおもしろい説をとなえています。
たしかに名古屋って、日本第3位の都市でありながら、あまり知られていない気がします。
3人の著者による共同執筆なので、村上春樹が書いている文章はやや少ないです。
おわりに
村上春樹の旅行記は、小説に比べるとずっとかんたんな書き方です。
ハードな旅行者にはやや物足りないかもしれませんが、村上春樹ファンなら楽しめるはず。
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