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2021年読んでよかった本10冊

【書評】『関西スーパー争奪』|「ぶっつけ本番化」する日本の株主総会

関西スーパーと言えば「関スー」の略称で俺のような関西人には馴染み深いスーパーだったんだけど、まさかこんな争奪戦があったとは。
 

 
関東を中心にスーパーマーケットを展開するオーケーが、関西スーパーを買収しようとするんだけど、関西スーパーに徹頭徹尾いやがられる話。
 
 
「うへへへ、口では嫌がってるけど体も嫌がってるじゃねえか」レベルの嫌がられ方で、オーケーが不憫になるレベル。
  
 
本書のいちばんの読みどころは、ぶっつけ本番で行われた関西スーパーの株主総会。
 
 
通常の株主総会は事前の票読みだけで結果が判明するため、会場では拍手のみを求めるのが一般的らしい。
このような事前の根回しで結果がわかってる茶番劇は「シャンシャン総会」と言われてバカにされている。
 
 
でも、今回の株主総会はぶっつけ本番で、形式的なものではなかった。
 
 

株主総会では、3分の2以上の賛成が必要な議案に対して、「66.68%」という僅差で可決になった。
(3分の2以上=66.7%以上だから、わずか一票の差だった)
 
 
ところが、その一票の扱いが大問題だったんだ。
 
 
株主総会の参加者のAさんは、事前に「賛成」との議決権行使書を送っていたため、白票(何も書かずに)を入れた。
 
 
しかし、マークシート方式での投票を行ったこの株主総会では、「白票は棄権として扱う」ことになっていた。
 
 
シャンシャン総会に慣れきってて、ぶっつけ本番のマークシート方式に慣れていなかったAさんの一票が大混乱の原因になる。
なにせ一票の差で結果が変わるほど僅差だから。
 
 

  • Aさんの白票を「棄権」としてカウントすれば、結果は否決になる。
  •  

  • Aさんの白票を「賛成」としてカウントすれば、結果は可決になる。


Aさんの一票で結果が正反対になってしまうというドラマ的展開で、集計作業にも時間がかかったんだけど、結局、Aさんの一票は「賛成」とカウントされて「可決」になった。
 
 
「待て。集計作業の間にズルして『賛成』にカウントしただろ。これは不正だ!」と裁判を起こしたのがオーケー。
 
 
裁判では、株主総会を撮影していた証拠の映像から「不正はなかった」と判断されて、高裁、最高裁共に「不正はなかった」という判決結果になり、オーケーの関西スーパー買収計画は完全に失敗となった。
(証拠映像を検証するシーンは、マジで小説よりおもしろい展開だった。ぜひ読んでほしい)
 
 

株主総会といえば、つまらない形式だけの儀式というイメージだけど、今回の株主総会は一票の扱いで結果が変わるという、ドラマの最終話みたいな展開でスリリングだった。
これが実話なのか……。
 
 
本書の最後には、

お互いに株式を持ち合う関係が多かった日本企業の株主総会は、かつて短時間で波乱なく終わることが多かったことから「シャンシャン総会」と言われた。
 
しかし、企業統治改革で持ち合いの解消が進み、海外株主も増える中で、総会は株主と経営者が主張をぶつけ合う場に変わった。株主総会はもはや馴れ合いが許されなくなっている。

━━と書かれていて、日本の株主総会も「ぶっつけ本番」化が進みつつあることを示している。
 
 
こんなに株主総会がスリリングなら、俺もぜひ株主になってみたい。
 
 
国政選挙の一票では国の政治なんて変えられないけど、株主総会の一票なら結果が変わるかもしれないから。
 

 


 

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