読書猿とは、「独学の達人」などと称される作家だ。
経歴も本名も素顔も不明だから覆面作家ということになる。
「読書猿」というペンネームについては、
「読書家、読書人を名乗る方々に遠く及ばない浅学の身として読書猿を名乗っている」
━━ということらしいんだけど、これほど賢い人でも「猿」なんだとしたら、俺はなんだ、ミジンコか。
読書猿さんの正体については探ったところであまり意味がないので、まず彼(彼女?)の「大全シリーズ」を読んでおこう。
全部で3冊あって、どれもレンガみたいに分厚い本なんだけど、完成度と網羅性が異常に高い。
ただし、
知的作業に行き詰まった時に参考にするために手元に置いておいて、自分に必要なページだけ読めば十分だ。
というか全て読むには時間がかかりすぎるしね。
紙で買うな
「大全シリーズ」のうち、特に『独学大全』は税込3000円以上、788ページとあまりにも分厚すぎて「鈍器本」と世間で人気になるほど。
書店には怒られるかもしれないけど、
電子書籍で買え。
分厚い本は所有欲を満たせるから、本棚にデデンと飾っておきたい気持ちはわかるんだけど、これほど分厚いと、読むには不便すぎる。
分厚すぎて邪魔だし、引っ越しの時に持って行くのもめんどくさいし、なにより分厚すぎると圧倒されてしまって読む気にならない。
というか、ここまで分厚いと重すぎて手で持って読書することができないから机に平置きして読むしかないんだけど、そうなると首が疲れる。
どう考えても『独学大全』の紙版は読むには不便すぎるんだけど、これを買った人はどうやって読んでるのか謎。
文字通り人を殴るための「鈍器本」としてしか使えないぞ。
電子書籍版で買えば、
- 紙で買うより安い。
- どこにでも持ち運べる。
- 検索ができる。
━━というメリットがある。
特に「検索ができる」というのは、電子書籍の最大のメリットなんだ。
これほど分厚いと自分に必要な情報を探すのも一苦労だけど、電子書籍の検索機能があれば最短距離で自分に必要なページを探し当てることができる。
紙の辞書が電子辞書やウェブ上の辞書に駆逐されてしまったのと同じで、こういう何度も参照する本は紙で買うより電子書籍で買ってデータ化してしまった方が絶対に便利だ。
外出している時に「あ、これ『独学大全』に書いてあったな。なんだっけ?」となってもいちいち家に帰ってから紙の本を確認しないといけないのは時間がかかりすぎる。
でも、電子書籍なら即座にスマホか電子書籍リーダーをポケットから取り出せばノータイムでチェックできる。
せっかく疑問が出てきても、家に帰る頃には忘れているというのはあなたも経験があるはず。
わざわざ持ち運べない紙の本で買うメリットは少ない。
何度も読み返すことになる「大全シリーズ」に限っては、電子書籍で買うのが絶対におすすめ。
「大全シリーズ」3冊紹介
「大全シリーズ」全3冊には、たくさんの項目があるんだけど、俺が気に入った項目を各一個だけ紹介していく。
「内容は自分で読む」という人は、もうこの先は読まなくもOKだ。
独学大全
55の項目で、独学の技法を解説。
分厚すぎるので必要なところだけをつまみ読みでOKだ。
現代人の多くは、調べたいことがあったら本を読むよりも先に、ググる。
だから、
でも、ほとんどの人はGoogleの検索窓に単純な自分の欲望しか打ち込まないから、上位に表示される詐欺サイトにだまされる。
『独学大全』では、ググる前にコトバンクで、的確な検索語を探すことをおすすめしている。
例えば、コトバンクで「ストレッチ」を検索すると、複数の百科事典を横断して検索結果を表示してくれる。
ここが、検索結果の上位に詐欺サイトやアフィリエイト・サイトなどが表示される「汚染されたGoogle」との最大の違い。
コトバンクは、百科事典を横断検索してくれる。
百科事典を書いているのは、専門家だから信頼度は高い。
コトバンクは汚染されてないんだ。
コトバンクを読むと、「ストレッチ」だけでなく、「ストレッチング」という呼び方もあると分かる。
試しに「ストレッチ」でググると素人のブログ記事なんかもヒットしてしまうけど、「ストレッチング」でググると信頼度の高そうな記事がヒットする。
本を読むことは得意でも、検索が苦手な人は多い。
独学の技法を身につけるには、まずGoogleから攻略していかないといけない。
『独学大全』はGoogleを独学のために使い倒す方法まで網羅している。
アイデア大全
難しい項目もあるので、全部は読まなくていい。自分に必要そうなところだけ読もう。
「なぜなぜ分析」とは、「なぜ?」を繰り返し自問自答すること。
- 上司が間違った文書を送ってしまった。
➡︎なぜ? - 部下が間違った文書を置いたから。
━━たった1回の「なぜ?」だと、部下だけが悪いことになってしまう。
でも、「なぜ?」を繰り返すと、
- 上司が間違った文書を送ってしまった。
➡︎なぜ? - 部下が文書を重ねて置いたから。
➡︎なぜ? - 上司の机にスペースがなかったから。
➡︎なぜ? - 上司の机は書類でいっぱいだったから。
- 実は机の整理整頓ができていない上司のせいだった。
━━と、「なぜ?」を繰り返すと、実は上司にも原因があったことが初めてわかる。
忙しい会社だと、いちいち何度も「なぜ?」と繰り返す時間はないので、「なぜ?」は1回しか繰り返されず、経験年数の短い新人のミスということで片付けられることが多い。
実は俺もメーカーで勤務してた時に、パーツを壊してしまうミスをよくやらかしてた。
確かに壊した俺も悪いんだけど、「なぜ?」を繰り返すと、
- パーツを壊してしまった。
➡︎なぜ? - 現場担当者の指示があいまいだから。
➡︎なぜ? - 入社1年目なのに経験年数3年扱いの準ベテランとして現場に派遣されており、あいまいな指示でも問題ないと思われていたから。
➡︎なぜ? - 社員の経験年数をごまかす会社のせいだった。
━━なぜなぜ分析をすると、俺ではなく会社が悪いはずなんだけど、やっぱり組織には逆らえない。
なぜなぜ分析は、短絡的でわかりやすい原因を求めてしまう人間への治療薬になる。
大量殺人を犯した犯罪者は100%の悪のように思えるけど、「なぜなぜ分析」を繰り返すと、その犯罪者を生んだ社会の構造が悪いことも明らかになってくる。
(そんな事件は日本でもたまに起こってる)
短絡的な思考をしたくない人は、『アイデア大全』を読んで自分のアイデアを生け捕りにしてみよう。
問題解決大全
全37の項目で、「締め切りが近いけどレポート書く気起こらん……」的な問題の解決方法まで網羅してある。
これも項目によっては難しいので、あなたに必要な箇所だけ読めばいい。
「巨人の肩に乗る」という比喩は、
幸い、俺たちには歴史上の賢い偉人たちが積み上げてくれた技術や知識があるので、わざわざ自分でゼロから再発明する必要はない。
巨人の肩の上に乗って、そこから広い景色を見渡せばいい。
こうして必要な情報が得られない状態を自ら再生産し、「情報の貧困」という悪循環ループに陥っている人たちをチャットマンは「情報貧困者」と概念化した。
━━お金や人間関係の悩みなんて過去の人類がとっくに解決法を発明してて、その情報は図書館やインターネットに転がっている。
なのに「自分の悩みを解決することなんてできない」と、自ら巨人の肩から降りてしまう人たちを、チャットマンは「情報貧困者」と呼んでいるわけだ。
貧困層から脱出するには、やはり巨人の肩の上にうまく乗っかるしかない。
巨人の肩の上に乗るために必要なのは、先人の残した知識を吸収することだ。
まずは、この『問題解決大全』を読んで、巨人の肩の上に乗ろう。
おすすめは『独学大全』
「大全シリーズ」を全3作紹介したんだけど、ぶっちゃけ、
読書猿さんは、影響を受けた本として『数学の世界』をあげているほどなので、たぶん理系的な思考の持ち主。
理系的な発想に慣れてない人は読むのはちょっと大変かもしれない(俺も大変だった)。
『独学大全』は理系的な発想で書かれてはいるんだけど、まだ読みやすい。
読みやすい理由は2つあって、
- ①無知くんと親父さんの対話が導入として書かれている。
- ②誰でも学校の勉強なんかで「独学」したことがあるはずだから、とっつきやすい。
『独学大全』には①無知くんと親父さんの対話が導入として書かれてて、会話形式だからマンガ並みにわかりやすく読める。
②に関しても、誰でも資格試験や受験勉強のために自分で試行錯誤して「独学」した経験はあるだろうから、とっつきやすい。
現に、「大全シリーズ」で一番売れてるのは『独学大全』みたいだし、やっぱり勉強したがってる人が多いんだろうなと。
とりあえず最初は、『独学大全』をKindle版で買ってみるのがおすすめ。
【まとめ】電子書籍で買え
大全シリーズの中でも特に『独学大全』はその分厚さからも分かる通り、網羅性が異常に高い。
最近のGoogleは、検索結果が詐欺サイトに汚染されすぎてて、質の悪い情報が上位にヒットしてしまう。
質の高い情報を得たいなら、
もちろん、電子書籍で買わないと検索機能は使えないので、紙ではなく電子書籍で買うのがおすすめだ。
ぜひ、この「大全シリーズ」の電子書籍をポケットの中に持ち運んでほしい。
Googleより役に立つことがあるはずだから。
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