みんなたかが小説と思っているかもしれないけど、映画や漫画よりも歴史が古いんだから、小説はバカにはできない。
その中でもトラウマ小説ともいえるものがあって、俺は何度も小説に精神を叩き壊されてきた。
では、26歳がえらぶ人生ベストトラウマ小説3選を紹介する。
26歳がえらぶ人生ベストトラウマ小説3選
砂の女
安部公房は意味不明なシュールレアリズム小説をよく書くんだけど、この小説だけは起承転結がしっかりしていて読みやすい。なので一番有名。
ラストでいきなり提示される「書類」は、官僚制を採用した近代以降の時代の不条理感が出ていて最高にトラウマ。
組織は書類を使って、俺たち個人を操作する。
「組織と個人」は現代でよく語られるテーマだけど、本書もそこに痛烈に一石を投じている。
黒い家
社会人になると仕事の方がよほどホラーなのでホラー小説は読まなくなりがちなんだけど、1冊だけ例外がある。
それがこの『黒い家』。
サイコパス客につきまとわれる生命保険会社のサラリーマンが主人公で、生命を扱う仕事の怖さがよく分かる。
いわばお仕事ホラー小説なので、社会人になってから読むとむしろ怖さが倍増する。
客相手の商売はこれだから恐ろしいんだ。
乗越駅の刑罰
『乗越駅の刑罰』は筒井康隆の短編だ(上記の『懲戒の部屋』という短編集に収録されています)。
無賃乗車を疑われ、ひたすら駅員やその場に居合わせた人たちにボコられるという短編で、話が全く通じない様がリアルすぎて怖い。
インターネットでは、正義に酔った人たちが特定の人を袋叩きにすることがよくあるけど、完全に構図はそれ。
「自分が正義の側に立っている」と認識すれば、人はなんだってできる。
でも、反対側もまた自分のことを正義だと思っているので、これはもう収拾がつかない。
正義は、争いを加速させる。ブレーキを踏むには、どちらかが折れるしかないんだ。
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